何十年もオーナー業をしているとたくさんの困難にぶつかります。特に大変だったのは、安い商品が並ぶライバル店がすぐ近くにできて、売上が大幅に減った時です。そこで行ったのが「接客改革」です。接客のエキスパートとして活躍していた本部のメンバーを動員し、1週間かけて全クルーを再教育しました。すると、徐々にお客様が戻ってきて売上は以前より上がり、危機を乗り越えることができました。確かに商品力や価格は大切です。でも、それよりも大切なのは、接客やサービスだということを、身をもって感じた出来事でした。

　常連さんとの会話や地域との交流も、コンビニオーナーの面白さの一つだと思います。コンビニはその地域に住む人にとって身近な存在ですし、今の時代、生活に無くてはならないものでもあります。そのため、常連さんから近くの小学校で開催される夏祭りに出店してほしいと相談を受けた時には「いいですよ！」と二つ返事で答え、飲み物や焼き鳥を売る屋台を出しました。初めてで大変でしたが、地域の方々とのつながりが深まりました。それ以来、10年以上お祭りに参加しています。長くオーナー業を続けるほど、人とのつながりが増えていき、人生を豊かにする財産になっていると感じます。

　オーナーの醍醐味は、「売れる」と思った商品が「狙い通りに売れた」瞬間です。以前、新商品が発売されて「これは絶対に売れる」と確信し、大々的にアピールを行いました。その結果、その商品の売上が支店内の店舗で1位と2位（当時は2店舗を経営）を獲得。自分の仕掛けが上手くいった時は、本当に嬉しいですね。

　また、オーナーとして一番重視しているのは、「接客」です。基本的には、クルーの教育は店長さんにお任せしていますが、初期教育は今でも私自身が行います。いい接客がお店の雰囲気を良くし、お客様の満足度にもつながるからです。お店の雰囲気作りを大切にしているおかげか、卒業後も顔を見せに来てくれるクルーがたくさんいます。彼らの近況を聞くのも嬉しいですね。